Tsunami Times

  • out there

     濃いめの浅煎りイルガチェフェを淹れて、難解しかし流麗艶やかなエリック・ドルフィーを聴いていたら、なんだかちょっと賢くなった気がしたのは昨日の朝。エリック・ドルフィーには不思議と惹きつけられる何かがあって、これがかかるといつもどこか引っかかると言うか、心のどこかを(鷲掴みというのではなくて、あくまでねじられつつ引っ張られるような)クニュッと掴まれるような感覚がある。そこが他とは違うところ。

     イルガチェフェは、ヴィンテージキャンプマニアでタイプII乗りでかつては日本有数のコカコーラグッズコレクターで、震災後から今に至るまでボランティアに奔走し、本業はCMプロデューサーなうちの従兄弟のお兄ちゃんと先週末のマイアミ浜イレクターズキャンプに参加した際に、うちのオリジナルブレンドの夕まずめと交換にもらったもの。イルガチェフェはうちのオリジナルブレンドでも使うのだけれど、キャンプで従兄弟に淹れてもらったそれは、妙にふくよかで少し感動的だった。まるでゲイシャを初めて味わった時のよう。

     ちなみに俺が知っている従兄弟の代表作は、イスズ・ジェミニがパリだったかの街を2台でダンスするように並走するCM。かなり昔のことだけれど、俺と同世代ならあれはかなり印象的だったはず。そう言えば、彼のCMにうちのバンドの曲を使ってもらったこともあったなあ。

     持って帰ったそのイルガチェフェは、事務所で飲んでも旨いには旨いのだけれど、残念ながらあの時ほどの深い味わいは今のところ感じられず、あれはアウトドアというアドヴァンテージがそうさせたのかとも思う。環境に起因する心持ちってのは人間の味覚をも左右するということに違いない。と思っていたら、今日淹れて今飲んでいるそれはマイアミ浜にせまる旨さだったりして。

     イレクターズキャンプにはうちの弟夫婦も初参加で、奇しくもそこではちょっとした一族会が催されたということ。血とは恐ろしく、どことなく似たものがサイトに集っていて、それはそれでちょっと不思議な光景だったかもしれない。タイプIIとそれに続くキャノピー、240の隣のWAQのティピ、最新(?)のVWとノースフェイスのテントが入り混じっていたことも、その不可思議さに輪をかけていたはず。ま、しかし、自分たちには楽しいセッションでした。

     キャンプを片付けて一族で向かったのは建設中のうちの新居。弟夫婦も従兄弟も、その独特の土地柄とそこに建とうとしているあまり見たことのないタオプの平屋を、ちょっとした好奇と驚きをもって眺めていたように見えた。どこのものでもなければ、どこにも属しそうにないその家は、突飛ではないけれど、これまであったものとはどこかしら違う何かを備えていると思う。

     ここへの引っ越しはもう目と鼻の先で、呑気な俺もそろそろ余裕がなくなりつつある。今日も今日とて、最後に重機が入るので朝も早よから現地へと立ち会いに赴いた。エントランスへのアプローチに残っていた切り株を抜根してならす作業を見守る。

     これが上手くいくのか心配していたものの、あっけなく終わってしまって少々拍子抜け。あとのことは安心して任せてきた。

     住居部分の床も貼り終わっていました。これのオイルフィニッシュは自主施工。近々やることになる。

     事務所部分にも自主施工は多く、その後は高島のホームセンターでこれに使う材料を物色。帰りついでに途中にある白髭神社近くの十割蕎麦屋で昼飯を。先日通りかかって気になっていたその店で白髭ぶっかけ蕎麦なるものをいただく。ラー油をかけて食べる、ちょっと変わったそれがなかなかいけるのでした。

     さて、週の初めにはRottonの別注カエルを出荷。Rottonにはこのカエルにどうやら個人的な思い入れがあるよう。いつ以来か覚えていないRottonの別注は、Wave HeadにCrazy Frogを乗せるという荒技的まさにスペシャルオーダーでした。CFを手描きでと言うような勢いの注文だったのだけれど、それだけはなんとか回避して、鳥とピースマークのみをマジックでひとつひとつ描くことで勘弁してもらった。いろいろと難しかったものの、それでも結局はうちらしく、そしてもちろん雰囲気良く仕上がったと思っているのだけれどいかがでしょう?詳細はRottonにて。

     そして、好評のRecta Rod Handleはウッドのハンドル部分のみをリリース。来週から随時出荷です。

     うちにしては個性が薄いと見る向きもあると言えばあるRecta Rod Handleなのだけれど、製作コストを抑えてシンプルにする中に、なるべくそのオリジナリティを詰め込んだつもり。TNML Fishの刻印はもちろんのこと、グリップエンドにもそれは現れているはずで、ストレートの中に個性を主張することに敢えてチャレンジしております。植物油であるくるみオイルでフィニッシュした質感にも特筆すべきものあり。

     

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