Tsunami Times

  • 北比良ネストの春

     昨日Macがチョイスしたラクー・ミジクがあまりにも気持ち良くて、今日も朝から。すっかり忘れていたけれど、ハイチ大地震を契機に結成され2016年にデビューしたハイチの大所帯バンドなんである。アフロをルーツに、当地で醸成されたカリビアン、ニューオリンズファンク、ゴスペル・・・が、絶妙な塩梅にミックスされた、なんとも心地よいマジックだ。

     そいつが新緑をバックに工房に流れると、止まらない鼻水も止まらないしゃっくりもひとときは忘れてしまう。ついでに次にリリースのSonic Bird Miniのテンプレート作成という、面倒過ぎる作業も忘れてしまい、釣りになんて出かけたいところだけれど、そうはいかない。

     とは言え、それもまた仕事ですから、誰彼となく誘っては、または誘われては、ちょいちょい出かける今日この頃。

     先週は急遽プロトのテストがしたくて近所のDo it ユタを誘い出す。初めて俺のジョンに乗ることを喜んでくれた彼だったけれど、あいにくの強風でほとんど釣りにはならず。最低限のテストは出来たものの。

     その日の帰り、「やって欲しいことがあるんですけど」とおずおずと切り出すユタ。年末に引っ越しを手伝った際だったか、差し上げた鼠(Tsunami Luresの初期にリリースしたペンシルベイト)に羽を付けてみたいという。実を言うと、元木はこのブランクを流用して違うタイプのプラグに仕立てたいとぼんやり考えていたから、これって渡りに船のナイスアイデア。早速彼のネズミに加工を施して、翌々日にはうちにあったデッドストックの鼠にも同じ改良をしてみた。

     週末は弟夫婦に手伝ってもらって薪棚を二つ増設。周りの家では、これでもかってほどの尋常でない薪ストックをちょいちょい見かけるのだけれど、果たしてそれほど必要なのか?と実は疑問に思っていた。しかし、一冬を過ごして考えが変わりました。それもそのはず、改めて計算してみると、一冬で2トン以上の薪を燃やしているのだから。夏までに出来ればもうひとつくらい増設したいところ。

     月曜は朝イチからかねてより約束のサムルアーズ代表のサムJr.との釣行。うちから比較的近い内湖をはしごしてみようかということになった。もちろんコラボのフランクサム(当初5月あたりには発売予定だったものの、どうやら遅れます)、それから鼠改他のいくつかのプロトタイプも携えて。

     午前中はネスト狙いのアングラーがいい型のを上げるのを見たものの、我々は無反応。やがて遅い時間におさわりバイトが一発。ルアーは例の鼠改だった。

     鼠改は細かいピッチで早いリズムを刻む。ある程度の予測の元に羽の位置は決めてはいるのだけれど、どうやらそれがドンピシャなようで、思っていた以上によく動く。例えばSwing Geckoを作るときなんかは、セッティングに結構苦労したから、それを思うと意外なほど。ま、しかし、それは経験が生きたということにしておく。

     そんな調子のよろしい鼠改でバイトを得たものだから、次第に使用頻度が増す。使っているうちにすっかりリリースするつもりになって、鼠に羽が生えたらいったい名前をどうするかというところまで思いがおよぶ。例えばムササビとかモモンガなんてどうだ?見た目は似ても似つかないけれど、そもそも最初から鼠にだって似ていないわけだし。そう思うと、頭に中にははっぴいえんどの曲がぐるぐる回り始める。そう、「ももんが〜ももんが〜、お〜お〜ももんが〜」のあれだ。あとで調べてみたらタイトルは「暗闇坂むささび変化」だった。

     そうこうするうち腹が減って来たので一旦上がって、今日こそは行こうと思っていたカレーが旨いといううちからほど近いカフェへ。いつかの近江舞子浜のマルシェでハーレー修理の川村君に紹介してもらったバンドマンと美容師の奥さん(美容院も併設)が営むOberton(オベルトン)である。ここは実は川村君に紹介される前にサムJr.からもその噂を聞いていたのでした。

     噂に違わぬ旨さに舌鼓を打ち、マスターのいたる君のみならず、奥さんと、それから来ていた近所の家具屋の奥さん、それから著名なDJの奥さんなんかとも交流出来て、有意義なランチになったのでした。

     午後はうちから最も近い内湖である近江舞子内湖へ。もう何度か来ているのだけれど、未だ魚の姿は拝めていない。ここでもオールラウンダーが浮いていて、彼らには時折魚信があるようで、実際魚も釣れている。しかし、我々には音沙汰なし。無駄話しつつ、無為とも言えそうな時間が過ぎる。

     今日もボウズかと半ば諦めかけた頃、そいつは訪れた。どこかへ失せてしまいそうな気力を呼び戻しつつ、立木が絡むシャローフラットの奥まった場所へと、ももんがをえいやっとキャスト。テケテケとユニークなアクションに気を良くしたその瞬間、不意に水面が割れた。と言うか、それがどんなものだったか、実を言うと不思議なくらい覚えていない。かなり「いいバイト」だったはずなのに、興奮するとえてしてそういうことは起こる。

     驚くほど突っ込んでドラグを出したその魚は、サムJr.がスマホで動画を撮影していたせいで自分で取り込まねばならず、少々苦労を強いられたものの、無事ネットに収まった。近くで見ていたオールラウンダーも近づいて来て眺めている。「トップで出るんですね〜」なんて言われると余計に気分がいい。

     これが今年初フィッシュの顛末。54cmほどの立派な魚は初フィッシュには出来過ぎだった。

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