Tsunami Times
読書と思索の冬
The History of Lure Fishing読了。こんなに早く読めるとは思っていなかった。入院の効用。それにしても驚嘆すべき量の資料とその読み解きに頭が下がる。感銘も受けたし勉強にもなりました。トップウォーターファンにも実に示唆に富んだ内容です。
左は最近親しくさせていただいている建築家木村松本の初の著作。図面集とは言うものの、文章もたっぷりで興味深い。寄稿文の中に「エッセンシャル」という言葉を見つけて、まさにそれが彼らの本質だと合点がいった。
木村松本の木村氏には言ったけど、俺も死ぬまでに一冊くらいは自分の本というものを出してみたい。さて、一体どんな本にするか。ライフスタイルにも迫る、というのはそうなんだろうけれど。
ところで、レインウェアとしてメインに着ていたアークテリクスが昨年とうとう駄目になってしまって、どうしたものかとそれ以来。修理を2度ほど重ねたのだけれど、化学繊維というやつは経年にはどうしても勝てない。他にもレインウェアは当然持っていないわけではないが、もう一着くらいは悪天候に堪えるヘヴィデューティなアウトドアのパートナーが欲しい。それも六十を迎えるおやじが次の段階にチョイスするべき、普段もハードに着たくなるような愛すべき一生モノのギアとしてのウェア。
思い至ったのはバブアー。もちろんこれまで知らないわけではなかったこのブリティッシュブランドなのだけれど、ごく最近までは良さをわからずにいた。オイルドジャケットだからまずは手入れが面倒だし、匂いにも手触りにも果たして堪えられるものなのかどうか。加えて古いスタイルのものだからそもそも防水性能が不安。それに着る人によっては一見野暮ったく見えなくもない。そこに大枚を叩く気持ちになれなかった。
不思議なものでそれらのネガティブな側面がこのところほとんどポジティブに一転してしまっているところ。バブアーのビューフォート、それもSLではなくクラシックを少しだけ大きめに敢えて野暮ったく着る、と言うのはどうかなあ。これもまたライフスタイル。
病室でそんなこんなを考えつつふと気づくと、外は夕暮れ時だった。部屋を変わったので朝日も夕日も見えないけれど、ほんのり赤く染まる景色がそれを教えてくれる。すると次に思い起こされたのは少年時代。
親父の実家と隣家の間の人が一人やっと通れるほどの細い坂道を、仕掛けを結んだままの竹製の延べ竿とブリキのカンと網で出来た魚籠を持って、転がるように駆け降りるとすぐにその谷川はあった。場所によっては子どもでも対岸に渡れそうなほどの川幅で、数百メートル下ればそこには吉野川がある。
狙うのはこの地方ではジャコと呼ばれるオイカワ。瀬の向こう側へ仕掛けを投入して流すと、淀みと瀬の間とか、石の裏で流れが巻いているあたりで、時折り小気味良く浮子が水中に没する。注意深くそれを見定めて反射的に手首を返すと、水中に銀鱗が踊りブルブルした生命感が手元に伝わる。その瞬間が子どもの俺には至福だった。これが元木の原体験。
さて、入院していなければ先週か今週にも予約開始したかったラグランTとソックスのサンプルが上がる。同時に裏パイルのスウェットもあるのだけれど、これはサンプルがまだ。
ラグランTは3/4スリーブ(七分袖)ではなくてロングスリーブ。元木は個人的にこのラグラン、いわゆるベースボールシャツのロングスリーブが好きなのだけれど、どこのボディメーカーにも最近はこれが在庫されていなくてリリース出来なかった。それがようやく去年新たにラインナップに加わって在庫も安定しつつあるのでこのタイミングでサンプルを作った。プリントはごくシンプルな273 Peace。なかなかいい出来です。
ソックスは去年リリースしたのが好評で在庫がほぼなくなっていたし、元木自身も気に入って結構履いてたので、新たにカラバリを加え、刺繍ロゴをTNML Fishに一新してみました。全6カラーなので、ハーフパンツなんかにもコーディネートしやすいかと思います。
退院し次第ご予約受付するつもり。もう少々お待ちを。
23/02/05
「読書と思索の冬」への5件のフィードバック
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ビューフォートのクラシック絶対似合うと思うなぁ。それにそこ選択する元木さん流石。
て言うか、君、まさに今日バブアー着てたし、なんのお導きかと思ったわ。
冒頭の文章が抜けてました。21:56修正追加。そろそろ消灯。
こちらこそブログ見てなんのお導きかと思いました!波長が合うたんですかねぇ。
おもろいね。ちょっとびっくりした。