Tsunami Times

  • The Weight

     いやあ、勝ちましたね。もちろんそれを信じて観戦してたわけなのだけれど、信じられないよね。まさかW杯の本ちゃんでドイツに勝つ日が来るなんて、誰が想像したでしょう。四十数年前、俺がサッカーを懸命にやっていた高校生の頃にはそんなことって夢のまた夢だったはず。そんな世間の空気にもまるで臆することなく、目の前の現実としてそこをイメージすることが出来ていた彼らは凄いなあ。そういうイメージの積み重ねがこの結果をもたらしたということでしょう。

     堂安が同点弾を決めた瞬間は夜中にひとりリビングで大騒ぎしたものの、浅野の勝ち越し弾の前には言葉も出なかった。彼がパスを受けて見事なトラップをしたあたりからそれはまるでスローモーションで、それこそ夢を見ているようだった。なんてったってキーパーはあのノイアーですから、その脇をボールがすり抜けたなんてことにしばらくは目を疑った。

     長い長いロスタイムを経て、そして俺は涙をこぼしたのでした。

     奇しくもノイアーは言った、「最後は意志が決め手だった。日本は本気で何かを手に入れたいと思っていた」と。

     今日は4階でルアーに色を塗ったり、エイジングしたり、コーティングしたりの作業を。なんだか最近妙に忙しいことで疲れが溜まっていたのかどうか、午後はステンレスの串に刺したルアーブランクを片手に何度もうとうと。危うくそれを落としてしまうところだった。ちなみに肩も凝り凝りです。

     それでも、作業終わりで開け放たれていた窓から見た工場街の夕陽がとても綺麗で気分の良い夕方ではありました。サッカーの余韻もあったのでしょう。

     この頃はThe Weightという曲を深掘りしているのである。と言っても例によって歌詞を覚えているだけなんだけれど、そうするにあたっては意味を知るということが早道であったりするのだ。

     お人好しの男が重い荷物を下ろしなよと、人の重荷を引き受ける物語だとつまりは解釈する。そしてやがて重くなってきた自分自身の荷物も下ろさなきゃってことになる。ロビー・ロバートソンのそんな歌詞がリボン・ヘルムとリック・ダンコの名調子で歌われる。加えてガース・ハドソンのピアノがご機嫌だ。なんともはや最高ではないか。思わずこっちの肩の荷さえ軽くなりそう。

     ラストワルツを最初に聴いた頃からおそらくはもう四十年ほど親しんできた、そして何度となく演奏してきたこの曲が、またも生き生きとする今日この頃。

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