Tsunami Times

  • Rubber Soul

     ビートルズにキャッチー以上の何かを感じ始めたのはおそらく四十を過ぎてからで、それが彼らを本当の意味で好きになったということだと思う。

     中学校の時だったかに買った最初のLPは青盤で、そこに収められていた曲は強烈に印象に残ったし、何かしら他と違う趣と言うよりは違和感あるいはひっかかりみたいなものを感じてはいた。そのひっかかりを理解するのに四半世紀かかってしまったということだろうか。

     先日観たGet Backでは、なんだかまたも彼らに対する印象を改めねばならなくなって、そしてまた彼らが好きになった。

     ポップミュージックだけでなく、おおよそありとあらゆるポップアートにその「キャッチー以上の何か」は必要不可欠だと思う。もちろんルアーにだって。

     はい、そんなわけでそういうことを今後とも心掛けていこうと思います。肝に銘じて。謙虚に。

     おそらくそういうことを共有出来ると俺が思う人のひとりであるT字路sの大きい方=しのちゃんと、昨日はたぶん今年最後になるであろう琵琶湖へ。

     朝まずめから開始した釣り自体には大した事件も起こることなく、昼ごはんを挟んでやがて日暮れを迎えたのでした。ハイシーズンだろうが、ローシーズンだろうが、琵琶湖だろうが、七色だろうが、そこのところはよくも悪くもあまり代わり映えのない俺たちではある。

     いろいろな意味で釣りに行けることを喜び、行きたいと思えることを喜び、そしてもしも釣れるなんてことがあったらもっと喜ぶ、それが俺たちの釣りだろうか。

     Rubber Soulって紛い物のソウルってことらしい。アメリカのブルースマンがローリングストーンズを揶揄してプラスチックソウルと言ったのをもじった、ポールらしいセンスがなんともいかしてる。彼らの有り様を言い得て妙。というか、この言葉、全てのポップアートに通じる、ある種普遍的な表現ではないかと思うのだけれど、いかがでしょうか。

     我々のトップウォーターの釣りをも含めたカウンターカルチャーも、言うなればRubber Soulだ、なんて言ったら飛躍し過ぎかな。

     「これで今年の釣りが締まりました」としのちゃん。「元木さんもこれが今年最後ですか?」と言ったしのちゃんの顔に「もう一回くらい行けたらいいなあ」って書いてあったのは決して気のせいではないと思う。かくいう俺も「もう一回くらい行けたらいいなあ」って。

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