Tsunami Times

  • ONE AND ONLY

    ウシガエルよりさらに一回りデカいウシガエル

     明後日からの渋谷ハンズのイベント、フィッシング・アート&クラフト展用に製作を進めていたワンオフルアーがようやく完成を見る。ハンドカービング&ハンドペイントのいわばカエル・グランデのウシガエルと同じくマイティ・アロウ・グランデ。

    ウッド製。ベースをベタ塗りにせず、木目が見えるようにしてみた
    額装してあります。オリジナルの容れ物

     評価は皆さんに譲る。それでもこれ、アートのつもりで作ったので「売れなくていいよ」というくらいそれなりのインパクトのある値段を付けたいと思っているところ。

     例えばメキシコには、ウッドカービングで奇天烈な動物を作ったり、陶器の骸骨を作って食っている人たちがいる。そういう暮らしはひとつの憧れ。俺だってルアー作って暮らしてるんだから大して変わらないという意見も聞こえるが、なんだかあっちとこっちは超えられない高い垣根で隔てられているような気がしてしょうがないこの頃。

    これまたMighty Arrow Grandeより一回り大きいMighty Arrow Grande
    全面くまなくペインティング
    同じく額装

     これらの特大プラグはその憧れをなんとなく形にしてみたもの。こうしたいのにそうはならない、小器用でない不自由さ、そういうジレンマがどうも俺には付いて回るようだ。

     さて、一昨日の晩、マニア谷口からのLINE。「本日ソニックホーンで派手にやらかしてきました!注文が殺到したらすんません(笑)」だと。それもそのはず、Tsunami TimesでSonic Hornが新たにリリースされることを知り、興奮してしまって、早速そのSonic Hornをいくつか持って釣りに出かけたら、5本も釣れてしまったというのだから。タイミングに配慮する彼のこととは言え、これはもうお見事過ぎ。

     それにしても、このプラグのリリースにこんなにも興奮する人がいるだろうか。それが俺にはことの外嬉しいのだ。なんだかそれだけでこれをリリースすることにしてよかったと思える。新作でなし、それにどちらかというと地味な部類のプラグで、半分はそれほど売れないことを覚悟しているから余計。

     どうして売れないことを覚悟で、それでもリリースするのかと言うと、21年目にあたり、こういううちのクラッシックを見直そうと考えているから。曲がりなりにも20年余にわたって刻んで来たことを大事にするべきではないのかと今そう思っている。だから彼の興奮にはいっそう勇気付けられた。もちろん新作も意欲的にリリースしたいとは思っているけれど。

     


     来月遅れてリリースの津波ルアーズ最初のオリジナル・グラスロッド=ヤブサメも少なからずそう言う意味がある。最初はこれ1種類しかなくて、これでなんでもやっていたということもあるのだけれど、比較的オールマイティーなグラスロッドだと思っている。

     例えばこれで操るSonic Hornは当たり前だけれどそれなりのSonic Hornがある。バシバシっとはいかない柔らかさみたいなものが、あるいはアクションする者にとって心地いい場合だってあるのだ。もちろん魚にも。

     ちなみに何か選べと言われたら、繊細なティップと強靭なバットを持つSukiyaki 60HFはソニック・シリーズにうってつけ。柔軟なティップが自在なターンと柔らかなポップ音を演出し、そのバットはカップの抵抗にも負けないはず。

    Motion / Lee Konitz

     そんなことを書いていたら、腰があって柔軟、まさにそんなサックスがどこからか聴こえる。リー・コニッツ、幾度となく聴いていて、それほど腑に落ちる感覚はなかったのだけれど(いや、あったのかな・・・)、今日はいやにしっくりくる。誰とも違う気がする。

     いつか誰かの腑に落ちる、そういうワンアンドオンリーな人でありたいなあと、そう思った。それこそはまさにアートということなのかもしれない。

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