Tsunami Times

  • 湖上

     おそらくはもう三十年余りも前から頭の隅っこに引っかかって離れることのなかったこの伝説の本を、六十を目前によもや病室で読破することになろうとは夢にも思わなかった。七十年も前の若者の狂気の沙汰が肺炎の俺の胸をぐりぐりとえぐったら、細菌は駆逐され、膿は排出され、炎症は鎮圧されて、なんだか少し爽やかな気分になった。

     さて病室からだけれど元木自身の珍奇なロードをUPしました。Fishing Safariは今年第二弾、とは言え、収録は1月の初めなので、実質はこれが第一弾。

     年末あたりからなんとなく調子を崩していたので、この収録時には元木の肺には細菌が巣食っていたのではないかと思われる節がなくもない。それでも、この時ばかりは肺いっぱいに吸い込まれたキリッとした空気にさすがの細菌も怯んでいたはず。

     そんな冷涼な空気にぽつりぽつりと投射される厳選されたプラグが、決してランダムにではなく、繰り返し繰り返しイメージされたストーリーに沿ってゆっくりとしかし確実に景観を切り取って行く様を、どうか優しい気持ちで余裕を持って見届けていただきたい。 

     それにしてもこの釣りにとってイマジネーションは大事だと改めて思う。ほとんど全てであると言ってもいい。そしてそこには経験則と感性によって選ばれた特別なルアー以外が入り込む余地はない。

     イマジネーションの世界ばかりが無用に膨らんでしまうってこともなきにしもあらずだけれど、それもまたよし。いっそイメージに溺れてしまうのも悪くない。

    「湖上」への2件のフィードバック

    1. グランデ小川 より:

      イメージに溺れている時ってこの上無く幸せな時なんだと個人的に思います。

      動画を見て、以前行った七色の情景を思い出しながらリーリングして伝わる振動やクラッチの鳴る音、日向と日陰の温度差等をイマジネーションを働かせて陶酔する。良いもんですね♪

      1. Masami Motoki より:

        さすが部長、正しい観賞の仕方を心得ていらっしゃる。

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