Tsunami Times

  • フィッシングショー

    レスイズモアとのコラボ。Slapphappy Shad DBのお尻のパーツが先日の画像と違うけれど、こっちが正しい仕様。エディ・プロップとピック・フラップの両方が付いたハイアピール・ヴァージョンです。

     記憶にある限りいつもこの季節に大阪フィッシングショーはある。俺にとってそれはまるで巨大な魑魅魍魎で、その怪物の懐に出展させていただくとそうでないとに関わらず、この時期には何だかこれに立ち向かわなければならないという義務感にかられる。ただ、もう随分長い間そうなのに、尻尾さえつかんだ気がしない。

    でっかいのよね、フィッシングショーって。

     それはさておき、今年は不覚にも風邪をひいてしまって大変。体がだるいのはユンケル飲んで堪えたが、何が困るって、それは声が出づらいこと。ブースを訪れるお客さんに説明するのに骨が折れる。ショーの会場って実は随分ノイジーだから余計。今年は6m長のプールがブースに置いてあって、そこでルアーを動かすことが出来るのだけれど、うちのビート・キングのあの音さえ十分に聞こえないほど。

    世界の田辺哲男と。目つむってますけど。

     1日目の業者日はそこまで声はひどくなく、隣のアカシブランドのブースを訪れて俺に声をかけてくれた田辺さんとも、その明石がいなかったこともあってしばらく言葉を交わす。田辺さんもDVD「LEYENDA EN VAMONOS」を見ていただいたそうで、もっぱらの話題はそれ。

     「面白いけど、明石は「あかん!」しか言ってないし、君は「デカい!」しか言ってない」と田辺さん。それ以外にももちろん言葉は発していないわけではないのだけれど、どうもそれぞれの核心部分を見抜かれているような、そんな気がした。

     「メキシコでトップウォーター勝負どうですか?」との俺の振りにもなんと二つ返事で「いいよ」なんて、前のめり気味に返すあたり、乗りが良くて相変わらずかっこいい田辺さん。しかし、マジで実現させたいね、これはぜひ。

     その田辺さんも気になったのが「なんであんなに乗らないの?」ってこと。DVDの中で俺は御大玉越さんに対して「合わせが早いのかも」なんて恐れ多い提言をしたけれども、実はこれは早いんじゃなくて逆に遅いのではないかと今は考えている。これはフィネスの中川さんがDVDを見て「魚が速い」と言ったのがヒントになった。見ての通りあの勢いだからバイトすることに関してまず遅いってことはなく、相当のスピードであることは間違いない。それに合わせるには出た瞬間にフックにパワーを伝える必要があるのだけれど、乗らないのは間に合っていないからではないのか、ということ。

     玉越さんの場合はラインスラックを有効に使い、比較的スローで柔らかなロッドでアクションを加える優雅なスタイル。その上伸びのあるナイロンラインでもある。ラインスラックをとってロッドとラインが作る角度が狭い状態では、手元からフックの間にかなりの遊びがあるので、よほど早くラインを巻き、ロッドを立てない限りは、瞬時にパワーをフックに伝えられないはず。その上スローなロッドで伸びのあるナイロンだと余計に。

     ではなぜ明石や俺は乗る確率が少しばかり高いのか。それはパワーのあるロッドを寝かせて、伸びの少ないPEラインのしかもスラックをそれほど使わず、ロッドの弾力を生かすばかりでなくリーリングを使ってアクションするからだ。それだとリールからルアーまでが一直線に近く、巻き合わせでパワーが瞬時に伝わりやすい。乗ったと感じてから、追い合わせでさらにフックを刺すということで、キャッチする確率は高くなる。いかがだろうかこの仮説、あながち間違いではないと思うのだけれど。

     それにしても玉越御大が後半は感覚でこの辺りを乗り切ってしまっているのは流石という他はない。

     そのあたりを意識して再度見ていただくと二度面白いかも。

     さて、フィッシングショーにはいくつかのプロトタイプを展示したのだけれど、それは何もルアーばかりではない。一つは上の二日目の画像と下の三日目の画像にある、例のAwesome Exoticワッペンが胸に付いたスウィングトップ。これがかなり気に入っている。ただ、ワッペンが後付けになるので、これを業者さんが受けてくれるのか否かが目下の懸案事項だ。プリントなら出来るのだけれど、やっぱりこれってワッペンもしくはエンブレム的なのが雰囲気よね。

     さらにもう一つ紹介する。上の二枚の画像、それから下の画像にもあるスチール・タックル・ボックスはいかがでしょう?これはかの東洋スチールにカラーリングを別注したもの。昔からこのツールボックスをタックルボックスに流用する人は多いと思うのだけれど、カラーリングを別注した釣具メーカーはうちが初めてなんじゃないだろうか。

     オリジナルのタックルボックスって、アルミなんかを折り曲げて加工したものがほとんどで、プレスに比べて手間はかかるが、角が鋭角になる。俺の場合はそこにどうにも違和感があって、それよりもその昔はホームセンターにも良く置かれていたこのチープなボックスのアールのついたその愛嬌ある表情に魅かれてしまう。これに別注が出来ないものかと考えていたのは随分前からのことだった。

     ある日、買い物をしていると、とある雑貨屋に見覚えのあるこの箱が。しかしカラーリングは違っていて、それが何とも愛らしく、かつヘビーデューティーで、その雰囲気たるやまるでアメリカの古いツールボックスのよう。それでいてMade in Japanは素敵だ。「なんや、別注出来るんや」というわけで早速東大阪にある東洋スチールにアプローチし、それから数度のメール、そして直接担当に会ってのミーティングの末に出来上がったのがこのサンプル。なんとも良い色だし、艶の具合も絶妙だ。

     しかし、問題はその値段なのである。絞りと呼ばれるプレス加工でこの丸みは出すことが可能で、金型に元手はかかるが、手間のかかる折り曲げ加工よりも量産が可能で単価は落ちる。しかし、そこにはミニマムロットという壁。うちのような小さいメーカーは見積もりいただいたそもそものミニマムロットが多過ぎて実は一度お断りしている。それを何やらうちのプロダクツをやたらと「洒落ている」と評価する担当氏が会社に掛け合ってミニマムロットを落としてくれた。それはいいのだけれど、そうすると単価は自ずと高くなり、さらにその部分で担当氏は会社と交渉はしてくれたものの、それでもその仕入れ値はそこそこのものなのだ。

     さてさて、津波ルアーズ初のタックルボックス、あなたならいくらで買いますか?

    これも展示。近日中にご予約開始予定。

     最終日の今日はちょっとしたサプライズな再会。オガケンの紹介でTULALAのスタッフがうちのブースを訪ねてくれたのだけれど、この人にどことなく見覚えがあるなと。彼はエレクトリック・イール・ショックというバンドのボーカル&ギターが本職なのだそう。そんな彼だから、うちのリールやグリップなんかを興味深く見てくれて、アルバムやDVDを交換しその場はお互い「今後ともよろしく!」ということになった。

     ただ、その後、そのいただいたアルバムを眺め、メンバーの名前を見ていると、ベーシストの名前にもやっぱり見覚えがある。昔々、対バンもしたことのあるバンドが彼のかつてのバンドではなかったか。そこでネットを検索し、さらに当時の仲間にメッセージを入れ、返信をもらって確信した。やっぱりそうだ。

     うちのブースのちょうど裏にあるTULALAのブースに行って、再度彼に会いそのことを話すと、少し照れ臭そうに「なんでそんなこと知ってるんですか?!」と。彼は俺のことをどうやら覚えてないようだったけれど、それもそのはず、その頃の彼は飛ぶ鳥を落とす勢いのメジャーデビュー直前のバンドを率いていて、大した人気のない俺のバンドが眼中になかったとしても、それは彼のせいじゃない。確かその頃の彼のニックネームは「社長」だったと思う。内緒だけれど・・・。

     しかしそんなことってあるんですね。

     問屋の展示会から続くフィッシングショー週間が遂に終わったそんな余韻と疲労感に浸りつつ、嫁と息子がいない自宅で、今晩は愛犬とゆったりと思っていたのに、いつの間にかブログに取りかかってしまって23時とは、いやはや困ったもんだ。せめてよく寝ることにします。

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