Tsunami Times

  • ひとつの時代

     SNSを通じてその不確かな知らせを聞いたのはしのちゃんとカミオカとジーニョにいた時だったと思う。あまり信じたくはなかったけれど、それは本当のことだと言う予感めいたものがあって、涙さえ出そうになって、その挙句に言いようのない寂しさに襲われた。自分でも意外なほどに。そしていよいよ一つの時代が終わったという気分になった。ある程度覚悟はしていたのだけれど。

     羽鳥さんにお会いしたのはたったの一度きりだし、もちろん親しくさせていただいていたわけではないし、ハトリーズのルアーをたくさん所有しているわけでもないのだけれど、常にこの人は俺の道標のような存在だった。日本においてあれほどに強烈なオリジナリティを感じさせるルアーメーカーは今なおハトリーズただひとつだと思う。俺が目指しているのは紛れもなくそこで、常にそれは意識していると言うよりは感じていたと言う方がいいのかもしれない。それこそが唯一の正しい方向だと、あるいはまるで庇護者のように、プロダクツや文章や逸話を通じて教えてくれたのは誰あろう羽鳥さんだった。

     スミスから公式に発表があったので、なんだか少し重いペンをとった。こうして書き記しておかなければならないことのような気がして。

     ジョン・レノンの命日にこうして書いているのも妙な縁かもしれない。あの時、高校2年当時もそれはかなりショッキングな出来事だった。青二才にさえ時代が終わる空気のようなものがひしひしと感じられたものだ、あの時も。

     羽鳥さんのご冥福をお祈りします。

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