Tsunami Times

  • スタンダードをぶっとばせ その2

     プラスチックはオールドヘドンしか認めない、あるいはトップウォータープラグはハンドメイドしか認めない、という今もないではない風潮は、かつてはもっと蔓延っていたもの。そこまで極端ではないにしろ、ある種そういう空気は当時は肌で感じたものだ。趣味としてのそれは全く問題になるようなことではないし、責めるべきものでもないのだけれど、風潮としてのそれは俺のようなルアービルダーには厄介だ。

     あの火事の後、ウッドルアーの色塗りを含む生産を思い切って外注に頼った時には、元木の中にも実は葛藤があった。ビルダー自身、もしくは自社工房で完結しないルアーはハンドメイドとして認められないのではないか?そういう一抹の不安があった。でも、そこを押し切って外注に踏み切ったのは、何も火事で工房を失ったということだけが理由ではない。そういう風潮を払拭してやりたいという思いがどこかにあった。

     デザインするのは元木自身で、手塩にかけてサンプルを作り、テストして開発するのも元木自身なのだから、そこに間違いなく魂はある。それにそもそも木工を外注するにしろ、塗装を外注するにしろ、そこには職人の手がかかるわけで、ハンドメイドでないということでは決してないのだから。それを世に問うということもチャレンジではあった。

     一方プラスチックルアーを作ることに関しては、元々そうすることが夢だったということもある。ハトリーズやヘドンと肩を並べること、その野望が叶うのかどうか、それはやらなければ始まらない。

     そうすることに魂が感じられないと言うならば、それはそれでいたしかたない。それはそれが見えて来ないプロダクツのせいもある。そういう世間に果敢に挑むことがこれまでもこれからもモチベーションとなる。

     そう思うと、Tsunami Luresは一生インディーズで、そしてオルタナティブであるような気がするし、それでいいと感じる今日この頃。

     さて、オンラインストアに遅くなりましたがSwing GeckoとGeckoのパーツをUPしました。ここのところ問い合わせが数件あったので。

     そう言えば、このスウィングのシステムもちょっとしたチャレンジではある。ハネモノを作るにあたっては、そのハネのシステムをクレイジークローラーと同じにしたくはなかった。そもそもハネモノというアイデア自体、そこから来たものだから、せめてそのシステムくらいは独自性のあるものにしたかったというわけ。だからTsunami Luresには長らくハネモノがなかったのです。リクエストが多かったにもかかわらず。

     というわけでこのスウィングシステムは他とはちと違う。だからってどうということはないし、自己満足と言われればそうなのだけれど。

     今日もキース・ジャレットを朝から晩まで。

     ちなみにこれはマイルズが亡くなった直後に彼が取り組んだと言う追悼作。

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