Tsunami Times
ちょっとしたとそれなりと
特に選んだわけではなくて、旧式のiPodがたまたまかけたのは、ビリー・ホリデイとウェス・モンゴメリー。そういう極上の音楽を聴きながら、田舎へ向かう高速道路を運転する。
もしもそういう類の音楽を聴いたことがないのなら、ぜひとも聴いてみて欲しい。出来ることならば、夕暮れ時、それも田舎へ愛車で向かう途上というのが望ましい。あるいはその逆の田舎から都会へ向かう途上でもいい。それはちょっとした幸せである。
週末は親父の法事のために実家に滞在。キャンプづいている我が家族は、久しぶりに帰郷した叔父夫婦を誘って夕食は裏庭でBBQ。しかも二日連続。全くの素人だったキャンプ飯もどうにか少しは板についてきただろうか。キャンプにも釣りにも行けない休日をそれなりに楽しむ。
今日の夕暮れは妙に機嫌の悪い息子をなだめたくて、お袋を施設に送った帰りにすぐ近くのダムを見に連れて行った。大雨のせいで轟々と放水する様をちょっと怖がったり、サイトに溜まる大量の流木やゴミを見て目を丸くしたり、こいつにはなんだって新鮮だ。
そう言えば、小学生の頃だったか、見る間に出来上がって行くこのダムを見て、俺だって目を丸くしたもんだ。子供にとってもじいちゃんと遊んだあの大きな岩と朗々とした流れが消えて行く寂しさはあった。一体何が起こるのか想像もつかなかったけれど、一方でこれから起こる何かに期待も募ったもんだ。
そんなダムサイトに五十も半ばを過ぎて三歳の息子と立とうとは、確かに思いもよらなかった。ちょっとした驚き。人生って悪くない。
19/10/05