Tsunami Times

  • Crocodile Tears

     私たちって建設的じゃない、20代のころ付き合っていた彼女にそう言われて大いに戸惑った。彼女は芸大出身ではあったけれど、俺の周辺に妙に多い芸大出身者(らもさんも)のエキセントリックぶり比べれば彼女は凡庸に思えたものだ。しかし今思えば彼女にも十分にその素養があったんじゃなかろうか。

     未だに俺の頭蓋骨の中をぐるぐる回っては衝突を繰り返す、あまりに鮮烈だったその言葉が30年も経ってようやく唐突に理解出来たような気がした。彼女、どうしているんだろう。

     今日は今日とてグリーンについて考える。グリーンは好きな色で、だからだろうかこれをプラグに使う際にはどうにも悩ましいということがほとんどで、それ自体の色味、それから合わせるカラーを含めて、バチっと決まることはそうない。今回はワニにこれを使おうと考えているところ。

     どうでもいいけれどCrocodile Tearsという言葉があるらしい。嘘泣き。意味深だ。

     そのサンプルを塗ってしまったら時間が少しできたので、随分前から考えていたライブリーについての考察を未完成ながら書いてみる。

     ライブリーのアクションには強いと弱いがある。比較的引き抵抗があってウォブルがキビキビするのが「強い」で、これらの要素が少ないのが「弱い」である。うちの主なライブリーを弱い順に並べてみる。

    Slapphappy Shad J

    Slapphappy Shad Mini J

    Slapphappy Beaver

    Slapphappy Shad

    Slapphappy Shad Mini DP

    Niva L DP

    Django P

    というようなところかな、異論はあると思うけど。

    Slapphappyシリーズはリップが動くということが、ウォブルを相殺する方向に働くので、そうでないシステムのものよりは比較的弱い。加えてジョイントもSlapphappyシリーズの場合は同じくウォブルを相殺する方向に働くのでより弱くなる。

    「弱い」ことのメリットはいつも効くということ。活性が低かろうが高かろうがいずれのシチュエーションでも使える。例えば「動かさない」というのは最も弱いアクションなのだけれど、これでは探るという点で効率が悪い。そこで弱く動かせて、しかも移動出来るのが「弱い」ライブリー。「動かさない」ということに比べたら、動かせてしかも弱いを演出出来る、それががシャッドJとビーバー。ある程度の速さで引けて、しかもゆるゆると泳ぐ。例えば弱ったベイトのイメージか。バスからするとあまり動かない、あるいは動けない時に出来るだけ効率よく食べようと思わず口を使ってしまう、そういう際の対象となるのがこの「弱い」ライブリー。

    「強い」は食性というよりはリアクションを誘う。「強い」ゆえに遠くからも魚を引きつけるアトラクティブな性質を持つ。これが広範囲を早く探る、あるいは活性自体を探る、そういう時に重宝する。

    例えばDjango P はウォブル重視の強さが売り。リップのあたりを中心に左右に強めの揺れを作る。リップがしなるせいでかなり早くも動かせるのが利点。

    Niva L は比較的強めではあるものの、ボディの前から後ろへと貫く軸を中心にヒラを打つロールに特化することで弱さを演出出来るという特殊な一面を持つ。だからこれにしか出ない魚がいると思っている。

     以上、不完全な理論であることは否めない(そもそも完全なる理論なんてないと思う)けれど、こんな風に考えるとライブリーが面白く使えるかもしれない。

     今日は断然アラバマシェイクス。先日紹介したブリタニー・ハワードがボーカル&ギターを務めるバンド。ルーツロックと言ってしまえば通り一遍のバンドのように聞こえてしまうのだけれど、フォーマットの中で、あるいはそこをやすやすと突き抜けてアイデアと才能を炸裂させるその様が潔過ぎる。もちろん溢れかえるレベルもそこここに感じさせる。若いにもかかわらず、なんだかいけてる破天荒な年寄りみたいで参ってしまう。

     レイドバックとか、最近の言葉で言うとチルアウトとか、そういうのを求めると火傷してしまいそうになるけれど。

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