Tsunami Times

  • 歯を1本なくしてしまったのだ、俺は

     おおよそ四半世紀もの間、同じようなことをよくもやっているものだとつくづく思った3月の終わり。それにしても、ろくに才能もないのに、曲がりなりにも続けられて来れたのはラッキー以外の何ものでもない。多少は進歩したと思わないでもないが、基本的には変わっていないのだから。

     お気楽に適当にやってきたつけは、今頃になってじわじわと効いているということもないことはない。昔のようになんでもかんでも楽観的にはいかなくなってきている。それでも、まあ、なんとかやれてる。わりとしつこい性格はその点では功を奏しているのかな。

     そんなこんなの思いが錯綜するのは春のせいか。冬の間は陽の光を浴びることが少なく、そうするとセロトニンが足りなくなって春には精神不安が起こりやすいと言うしね。

     そんなわけでもないのだろうけど、Sweephonic Borrachoのカラーリングはなんだかいつもより時間がかかってしまっていると言う気がする。テンプレートを抜くのも遅々として進まず、やっと抜けたはいいが、サンプルを塗るのにも少々てこずっていないではない。

     そうそう、抜けたと言うと、先日、歯を1本なくしてしまったのだ、俺は。二週間ほど前になるだろうか、硬いものをガリッとやってしまって歯を痛めた。それ以来、痛みと腫れが引かず、どうやら歯が奥の方で割れてしまっていて、遂にこの間そいつを抜いた。麻酔はもちろんしてくれたのだけれど、これでもかっていうくらいに引っ張られて、そりゃあもう痛かった。

     それにしても歯が一本なくなるって思った以上にショックである。ひとつ老いたような気さえする。仕事が進まないのは、セロトニンよりはそのせいだったかもしれない。

     それでも一歩一歩着実に歩を進めるSweephonic Borrachoではある。明日にはカラーリングを決定するつもり。

     ところで進めていたボートバッグですが、一から考え直すことにしました。かなり気に入っていたサンプルではあるものの、コストの高さがネック。かなり高いものになりそうで、しかし、それにしては押しが弱い。性能が良くて、しかもそれほど高くないこの手のコンテナバッグのようなものは巷にないではないから、いったいどれほどの人がこっちを欲しいと思ってくれるのか、それがちょっと不安。

     ま、しかし、めげずに再考します。別の付き合いのある取引先に既にあたってみているところ。このサンプルも無駄には出来ないので、機をうかがって受注生産するってことも先々にはあるのかも。

     機をうかがうと言うと、なぜか今頃ジェームス・ブラッド・ウルマーを聴く。その昔に聴いた頃には、若い俺には前衛過ぎてどうにも理解出来なかった。この人の名前をふとしたことで見かけて、今聴いたらいったいどう思うのか、自分自身にちょっと興味がわいた。

     もちろん今聴いてもフリーキーには違いないが、やはり昔ほどは抵抗なく、むしろ今なら十分に範疇にある。その昔聴いた音楽は記憶の奥底で虎視眈々と表に出る機をうかがっていたと言うわけ。そういう意味では歳を取るのも決して悪くない。歯がなくなるのは嫌だけど。

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