Tsunami Times

  • 夏の終わりに

     思いつきを形にする、それが仕事だと思っている。二、三日前、ふとした拍子に浮かんだアイデアを事務所裏の用水路でテストしてみたら、思いの外うまくいってほとんど小躍りした。

     ただ、こりゃいけるとは思っていても、フィールドに持ち込んだらからきし駄目だったってこともしょっちゅう。こういうことを数え切れないくらい繰り返して二十数年が経った。

     何度かもう駄目かもしれないと思うこともあった。ちょうど16年前のあの火事の時もそう。しかし、こうして未だブランドを続けていられるところを見ると、しつこい性格が幸い(あるいは災い)してか、悪運は強いよう。なんにせよ奇跡に近い。奇跡ってあるのだよ。ま、世の中奇跡で出来上がっているようなものだという考え方もあるが。奇跡なんてないと思うのか、全ては奇跡だと思うのか、人には二つの生き方がある、とアインシュタインは言ったのだとか。

     さて、遅ればせながらお知らせ。Fishing Safari vol.9をUPしました。ほぼ釣れないドキュメンタリーだとか、なかなかにユニークなベーシック指南だとか、ろくでもないコンテンツを誇るこのチャンネルが、いつの間にか登録者数2000人を越えた。去年の秋の再始動以前は700人足らずだったと思うから躍進と言えば躍進。ありがたい。

     今回もまた恥ずかしながら、ブランドの行方さえ左右しそうな待望の1本をあえなくバラしてしまうという、とんでもないていたらくを披露する羽目になった。釣ってないという負の連鎖というのはこういうことだろうと思う。来年六十を迎えようかというおっさんが、まさかこんなにパニクって、そして思わず地団駄踏んでしまうことになるなんて夢にも思わなかった。いやはやマジでお恥ずかしい。

     不甲斐ない部分はユーザーにカバーしていただくのはいつものこと。マニア君はリリースしたてのくじらフェJで50up!くじらフェの使い手である彼であるからして、Jの扱いも心得たものだ。これで50up釣っとかんといかんでしょ、っていう覚悟が、痩せた、しかし狡猾な面構えの魚に隠れたその表情に見え隠れする。流石。

     ミナミ240はFishing Safariでも多用した、次にリリースのCoKirinで。こうして彼はひとつひとつルアーをマスターしていく。ヒグラシの声と稲刈りの匂いにこのCoKirinが条件づけられたのは間違いのないところ。

     いや、しかし、夏が終わるねえ。

     そうそう、なんと、YABUSAME 60が緊急入荷しました。数量限定のため、オンラインストアとヘッドハンターズのみで販売です。次はいったいいつになるかわかりません。お早めにどうぞ。

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