Tsunami Times

  • びわ湖とデザインと質量の話し

     先週は西表ツアーをキャンセルして、しょうがないので二日ほど休みを取って、その後は精出して仕事。晴れたらば昨日と今日はキャンプに行こうと思っていたものの、涙雨であえなく仕事。いろいろと不運続きだけれど、まあ仕方ないですね。

     その休みにはマリオに夢中の息子と妻と何十年かぶりのユニバへ、そして翌日は初めてのびわ湖テラスへ。車とロープウェイで登った先には絶景がありました。三十年以上は通う琵琶湖が角度を変えればなんと新鮮に映ることか。いやはや雄大。

     その後、下に降りて息子とこれまた角度を変えて雑魚餌釣りに挑むもボウズ。なめてたらあかんね。やるならちゃんとやるべしということです。ただし、突撃訪問した山手の知人宅では、周辺(と言ってもほぼ庭先ですが)でクワガタ採集に成功。いつ以来でしょうか、クワガタを手にするなんてね。

     ちなみに去年は何十年かぶりにカブトムシを取ってブリーディングに成功。先日来3匹が元気に羽化したのだけれど、なんと全部メスでした。残り2匹がまだ出て来ないのでちょっと心配。無事出て来れるのか。そしてそいつはオスなのかメスなのか。

     それにしても息子のおかげで童心に帰る元木ではある。還暦前にしてこんなこともレアケースではないかしら。これはこれで得難い経験と言っていいのかも。

     さて、いろいろと入荷してます。

     オーガニックのカラベラTはスルッとしたソフトな風合いが着心地良し。元木の手描きから起こしたLove Fishing, Music & Peaceなグラフィックをまとって少しだけエコに貢献してみて下さい。

     同じグラフィックの贅沢に三版を使ったヴァージョンも在庫あり。Tsunami Luresゆかりのメキシコ色にたっぷりと彩られたグラフィックが自信作。

     同じく三版を使った同じテイストのT字路sとのコラボTは、この頃の彼らの勢いそのまんまになんだかうちのオリジナルより人気。うちのオンラインストアにも在庫していますが、いよいよ彼らのツアー会場でも販売となりました。売れ行き好調のようでほっと胸を撫で下ろしているデザイナーではある。

     TJIROSのDINEXマグもT字路sツアー会場、当オンラインストアともによく売れてます。人気につき本日再入荷。T字路sツアー会場、T字路sオンラインストア、および当オンラインストア限定販売。

     そしてこれもまた当オンラインストア人気商品のレザー・フック・キーパーが再入荷。うちのコアユーザー=デンさんによるハンドメイドのため不定期少量入荷なのだけれど、それにしても何度目の入荷でしょうか。

     今回から古いバンド仲間にレーザーでロゴを入れてもらったヴァージョンもラインナップ。

     同じくデンさんハンドメイドのグラスホルダーも毎回早々に売り切れてしまう人気商品。今回は新色含む4色が入荷。

     傑作くじらフェJは鋭意製作進行中。それにしてもブランク製作に手間取ってしまって前作Sweephonic Borrachoからもう3ヶ月も経ってしまった上に、なんとこれが今年の2作目とはあまりにペースが遅い。年始のハンドペイントカラベラに多くのご注文をいただいたこともあったのだけれど、これはもう前代未聞です。

     しかし、その分、ハンドペイントカラベラにしろ、Sweephonic Borrachoにしろ、このくじらフェJにしろ、いつも以上に気持ちと手間がこもっていることは確か。しつこいようですがくじらフェJの場合は加えてコストもね。目が飛び出るほどのブランクのコストはもちろん、この上にオリジナルのチンガードコックヘッドラインタイなんてものがつくわけだからなおさらです。

     チンガードはいるかフェとくじらフェにしか今のところ使えず、流用が効かないってのはあまりに贅沢。コックヘッドラインタイもそこそこどころか、実はかなりのお値段です。

     いつだったか、このコックヘッドラインタイについて「信用していない」という辛辣な意見をお客さんに直接いただいたことがある。つまりは何かそう言うに値する事件があったかと思うのだけれど、その時は軽くショックを受けたまま、それがどういうことだったのか聞かずにその場をやり過ごしてしまった。おそらくはこちらがチェックをおこたっていて、穴の部分がちぎれた(製作する上でヒートンおよびビスを入れる穴の周囲がものによっては細くなってしまう場合があり、通常は検品でこれをはじく)とかしたんだと思うのだけれど。

     こいつの場合は精度に問題がある。それはわかってはいるのだけれど、そこを差し置いても当時どこにも見当たらなかったこいつを作りたいという質量が上回っていて、コストのことも無視して作ってしまったという経緯がある。何も言わなくてもそこを理解してくれと言うのは作り手のエゴかもしれないから、せめてその時説明すればよかったと未だにちょっと後悔しているのです。

     あるいはプロダクトには、言葉にしないでもそういう思いのようなものを伝えることの出来る、迫力という質量が備わっているべきであるとも今では思う。

     それにしても伊達に二十数年もやってるし、オリジナルということには人一倍こだわって来たから、オリジナルパーツの種類の多さとそのオリジナリティでは他所のブランドに引けを取らないという自負あり。オリジナルパーツと言うと今じゃ小ロットでも比較的コストをかけずに作れてしまうレーザーでカットする方法(単価は少々高くとも、小ロットで作れて金型を起こさなくて済むので総費用が抑えられる)が主流となってしまっていて、うちの場合も例外ではないのだけれど、それでもうちの場合は精度もクオリティも高い金型によるパーツも点数が多く、それはもはや財産。そうそう数が出なくなってしまった今じゃ金型を起こすっていうのはある種至難の業と言えなくもないし。

     うちの場合はしかし、中国の工場でインジェクションを数モデル生産していることも大きいですね。その辺りの話は長くなるので次の機会に。

     くじらフェJは今月中にはリリースのつもり。合わせて次のルアーの木工も既に発注したので、次のスパンはもう少し短くて済むと思うのだけれど・・・。

     ところで、アラバマシェイクスっていうのは、鳴り出すと辺りの空気を変えてしまう。俺が聴いているような音楽ならば、いやそうでなくとも音楽って所詮は空気の振動だから、それはそうなんだろうけれど、こういう人たちのはその振動の質が違っている。空気を押す力が重くて、しかも心地よく、あるいは刺激的で、音楽に多少精通しているような人たちにさえ気持ちに直接訴えかける。特にこのアラバマシェイクスはオリジナリティだけでは測れない、そもそもの質量みたいなものを感じる。インパクトとっていうのともちょっと違う。

     オリジナリティというものには元来固執して来たつもりの俺だけれど、それはそれとして、クリエーターのはしくれとしてはそういう目に見えない類の迫力のようなものを獲得すべきよね、と最近思うのです。

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