Tsunami Times
琵琶湖と淀川
今回公開するFishing Safariは久しぶりのホーム=琵琶湖。ここもまたブランドの創成期以前から慣れ親しんだフィールドである。津波ルアーズはこことともにあったと言っても過言ではないでしょう。この秋、近江舞子のちょっと山手あたりに移住を決めた津波ルアーズなので、おそらくこれからもますます切っても切れない関係になって行くはず。
そんなこともあり、このところは敢えて七色ダムだとか、淀川だとかに足を向けていたということ。七色ダムに関しては意地になっていたということはいくらかあるにしても。
また、ここのところ釣れない、あるいは難しいという琵琶湖のイメージもしばらくここから足を遠ざけていた理由のひとつかもしれないのだけれど、動画の中でも言っているように、こことはこれからも一生をかけて付き合うことになるわけで、ゆっくりと向き合って行きたいと思っているところ。
ただし、今回はいつものジョンボートスタイルとは違って、バスボートに乗っています。アカシブランド明石の船に乗ることはこれまでに何度もあったのだけれど、いわゆる一般的な琵琶湖のガイドの船に乗ることはこれまで一度もなく、そこにはちょっとした興味が元木にはあった。トップオンリーでやりたいと言ったら、いったいどんなガイドをしてもらえるのか。
8月の終わりの琵琶湖はまだまだ猛暑は残るものの、そこここに秋の気配があり、魚はどうやら居場所を変えるべく散ってしまっている様子だった。持っていたパターンも軒並みどこかへ消え失せるも、秋の定番パターンにはまだ移行し切っておらず、ガイドにすれば最も難しい時期という印象。
流石のビックリマン高田もやり方を特定出来ず、迷いが見て取れた。それでも健気にこっちの無理強いをなんとか消化しようと試みる、彼の一生懸命さと、焦りと、そして悔しさが滲み出たガイドだったのではないかと思う。自分のパターンに嵌め込んで、ルアーさえも指定するというのもガイドとしてはひとつのやり方ではあるのだけれど、そもそもそれを鼻から拒んでしまっている元木に真摯に対応する彼の姿勢がとても好印象だった。相当困っていたとはしても。
そんな彼のガイドからは実のところいろいろと得るものがあった。木浜他のハンプとウィードの関係性、魚がこの時期集まると推測出来るスポット、ライブスコープという最新鋭の道具の使いよう、それによって得られる情報・・・。新しい発見もあり、そしてもちろん、元木もこのフィールドとはビックリマン以上に付き合いが長く、こう見えてそれなりの理論も多少なりともあるわけで、それらの答え合わせということにもなった今回の釣行だった。
そうそう、琵琶湖と言うと、ユタ君の釣果。ジャンボリーのLucky Fishingで彼が手に入れたのはSweepy Jのプロトタイプ。「これ選ぶ人には釣果報告の義務が発生する」との俺の言葉に、敢えてそれを選んだ彼だけあって早くも報告あり。
「首振りの右右、左左とビッグベイトの横横アクションが比較的簡単に出来るのが凄いと思いました。投げ易さがアップしたのか飛距離も僕のタックルではオリジナルより飛びます。ただ巻きでのS字アクションも綺麗に泳いでくれて良い感じですね」とのこと。
プロトを託した甲斐があったというもの。体高はオリジナルと同じくらいではあるものの、より薄くなって、ジョイント部分の形状も変えたこのSweepy Jは、リリースまでそう遠くないと思います。詳細はまた後日。
さて、先日はかねてから約束していたYotuba Lure’s西城君と淀川へ。「事務所行くの、勇気がいったんですけど思い切って」やって来て、俺との釣りの約束を取り付けた彼は、人当たりも良く、礼儀もわきまえていて、俺に気を使わせないあたりがそもそも好印象だった。
釣りする姿勢もまあそんな感じ。生真面目です。ハンドランディングにこだわるなんていうのは、そういう生真面目さから来るのかも。ちなみに俺はネットですくう派なのだけれど、たまたまこの日はネットを忘れてしまって自動的にハンドランディングをやる羽目になってしまった。
ハンドランディングにこだわるのはわからないでもないのだけれど、ネックはフックが手に刺さりやすいこと。元木はうちのフックをオリジナルのDos Cactus、Tres Cactusにしてこの危険を実感して以来、ネットですくうことにしています。それくらいうちのフックは刺さりやすいってこと。本当です。
ただ、この日たまたまハンドランディングして気づいたこともある。魚とのやりとりを丁寧にするということがこれには大切。ネットの場合はそれが結構おざなりになる。ハンドランディングの場合は、十分やりとりをして魚を弱らせてから取り込む必要があって、自ずとそれが丁寧になる。フックの刺さり具合もより注意深く観察してしまうかな。
あと、副産物として、同船者はネットを構えてすくってあげる必要がなくなるから、そのやりとりを撮影できたりもする。実際この日はお互い撮影しました。(インスタ参照のこと)
よつば君はしかしこのやりとりに失敗してあえなく貴重な魚をバラしてしまう。どうやら下顎にフックがかかっていたようで、下顎を掴むハンドランディングにはこれが不利になる。確かにそうよね、それはちょっと怖い。俺の場合は上顎にがっちりかかっていたので事なきを得たのだけれど。
元木がキャッチしたのは49cmほどの元気のいいやつ。何度も絞り込んで楽しませてくれた。怪我していたのがちょっと痛々しかったけれど。これの他に元木は1バラし。
キャッチしたルアーはまたまたSlapphappy Shad Mini DPの淀川ミントグリーン。ハイアピールで、しかもチンフラップチューンを施したもの。これは淀川に本当に効く。淀川ミントグリーンを使うのは多分にジンクス的なこともあるのだけれど、おかげでもうボロボロ。修理しつつ使っています。
名誉のために補足するけれど、よつば君も負けずにもちろん自分のところのルアーを駆使していくつかバイトを取っておりました。ただこの日は残念ながら2バラしに終わったのだけれど。
実際、ルアーの性能なんてそう変わらないのではないかと思う。まあ、その微妙な部分を競うのが面白いということはあるにしても。しかし、肝心なのは使いたいと思ってもらえる、これで釣りたいと思ってもらえるルアーが作れるかどうか。人の心を動かせることが出来るかどうか。トップウォーターの世界においては余計にそこが大事。場合によっては「釣れる」ということよりもそっちが重要だと思う。つまるところ、それがセンス。
ルアービルダーとして食いたいにもかかわらず他に仕事をせざるをえないよつば君と釣りをして、そんなことを考えさせられた日だった。決して彼のセンスが悪いってことではなくて、彼と俺とは紙一重であるってこと。誰もがセンスを追求しているのは同じで、ある種キャリアなんて意味がない、容赦のない世界がそこにはある。それだからこそ余計に、25年もの間これで食って来れたなんてことはまるで奇跡のようなもの、それを実感したのでした。
老婆心ながら、よつば君の場合はその生真面目さが邪魔をして、自らが課したそのルアービルダーこうあるべきとの枠を抜け出せないでいる、ということはあるのかもしれない。型破りなところは必要ですよね。なんて言いつつ、俺は俺でいったい俺は人の心を動かせているのか、ということを自問自答する。
人の心を動かすには、まず自分の心が動いていないといけない。トップトウにも書いたけれど、衝動にも似たモチベーションて大事。これが持てること自体、奇跡的なことなのかも。
23/10/09