Tsunami Times
半信半疑
釣れないルアーを作っているつもりは毛頭ないのだけれど、トップウォーターのルアー(この場合はトップウォーターというジャンルに特化したブランドのルアーということでいいと思うのだけれど)は「釣れない」と言うのが、どうやらおおかたの一般アングラーの認識のようだ。
「あんなもんで釣れるわけはないけれど、観賞用もしくはコレクションとして買う」と言う人がいた。それも決して悪くない。ただ、釣れそうにないもので釣れてしまうのが、ある種ルアーフィッシングの醍醐味ではある。そう考えると、そんな風に釣れそうにないけど欲しい、と思ってもらえるルアーと言うのは、最もルアー然としたルアーであるとも言える。
一方でこんな人がいた。「このカラーは何をイメージしたのですか?」と聞くので、特に何でもないのだけれど、結果的にはサバみたいだったからそういう名前にしてあるので、「サバだ」と答えたら、「じゃあ、海で使います」と。間違いではないと思う。ただ、何らかのベイトをイミテートしていなければ「釣れない」と思うのは間違い。アトラクティブであれば、ベイトライクでなくても釣れるのがルアーフィッシングである。もしくは一見ベイトライクでなくとも、当の魚には餌に見えてしまうのがルアーフィッシングである。
「釣れない」と思ってもらえるのは、むしろプラスだと思っている。「こんなもので釣れるのか?それなら釣ってみたい」それが作っている本人のルアーフィッシングへとのめり込む大きな動機だったから。加えて、やがてそれで釣ることによって、その後の人生を大きく変えてしまうような驚きと興奮と感動がもたらされてしまう。
そういう考え方を元に作られるのが、Tsunami Luresのルアーなんである。
昨日の淀川での釣りのお相手は、そんなこんなを知る、そしてTsunami Luresのそういうコンセプトに共感する、うちのコアなファンである20th西山。一般のアングラーなら「釣れそうにない」と思うプラグを前に、いかに「釣れそう」であるかを語り合ったりしながら、釣りは進行する。そして釣れなくても「まあ、いいか」と思えてしまう。いつものことながら楽しい時間はあっという間だった。
例えばもうじき(12月)発売のSlapphappy Shad Jは、我々に言わせると、最も「釣れる」ルアーなんである。しかもデカいのを選んで釣れる。こいつをガブっとやるやつは決まってデカい。
ただ、使うにはこつがある。20th西山とも話したけれど、このSlapphappy Shad JやSlapphappy Beaverを始めとするSlapphappyシリーズを最初に使う人は、リトリーブスピードが早過ぎる。オールラウンドな釣りに親しんで来た人に特にこの傾向が強い。このプラグはゴリゴリと巻いて、強烈にウォブルを発生させる一般のウェイクベイトとはちょっと違う。ギリギリアクションするスピードでゆっくり巻く、それが肝要。その際に完全にサブサーフェイスにプラグがあると効果は半減するので、尻尾で引き波をたてる程度を目安にするのがいい。
もしもこれで釣ったことがないという人がいるのなら、このこつを実践してみて欲しい。さすれば、このまるで釣れなさそうに見えるルアーは、やがて最強のウェポンへと変貌を遂げる。本当なんです。
もうじき発売と言うと、Tashinami 60M。好評のTashinami 56Mに続いて、トップウォーターにおけるスタンダードなレングスであると元木が考える、6フィートのTashinamiが追加される。素材がグラスであるということも元木がこのロッドを推す理由でもある。
グラスロッドにおけるキャストのフィーリングがトップウォーターのキャストの基礎になると、元木は今も思う。テイクバックでプラグの重みとブランクの曲がりを感じ、その反発力でプラグを前へと押し出す一連のオーバーヘッドの動作は、グラスロッドでこそ最も感じやすい。だから、トップウォーターの世界においても、Tsunami Luresの中においても、コンポジットやカーボン素材がグラスに取って代わろうかという今、少なくともその選択肢は残しておくべきだと思うのです。
もちろんこのTashinamiシリーズはノスタルジアだけに帰することのない、使えるグラスでもある。バットをスウェルバッドなみに太くすることでカーボンやコンポジット並みの強さを担保。その強さはフィールドでカーボンやコンポジットから持ち替えた際にも違和感を最小限にとどめる。それでいて、しなやかなミッドからトップセクションによるキャストフィールの心地よさは、グラスでしか味わうことが出来ない。
今ならTashinami 56Mも在庫あり。しかもFishbone Rod HandleとRecta Rod Handleも在庫があって、奇跡的にセットでチョイス出来てしまうというチャンス。というわけで、Tshinami 60Mのリリース前にして、すでにセットでのご注文が増えつつあるところ。
比良山はそろそろと言うか、ようやくと言うか、とにもかくにも色づき始めたところ。週末に訪れた朽木あたりも紅葉が始まっていました。世の中はいよいよ年末に突入なんである。
ところで、週末に観たNABOWAは良かったなあ。近所のカフェObertonの店主夫婦とこっちに来て知り合って、だんなの方がそのNABOWAのベーシストで、近所の打明というところでライブがあるというので出かけてみたのである。一緒に演った、こっちでは有名なDry Riverというパン屋の店主のDry River Stringにも刺激は受けるも、NABOWAは出色だった。クロスオーバー、技巧派のペンギンカフェ、ミニマル・・・上手い例えを演奏を聴きながら探したけれど見つからず、やがて自然と惹き込まれてしまった。俺の浅はかな了見では到底見つけ得ない、そんな領域にある音楽ではないかなあとまで。若いし、上手だし、そのあたり腹立たしいほど。とにかくいいバンド。今年末でドラマーが脱退のため活動休止とはちょっと残念。
そんな刺激的音楽とは裏腹に俺をリラックスさせたのは、昨日の淀川の帰りに久しぶりに聴いてみようとポリス(?)の曲を物色していたら、何の拍子にか現れたジミー・クリフだ。このアルバムはいいですね。オールタイムフェイバリット。久しぶりに聴いたんだけど。しかも恥ずかしながら映画を観たことないけど、しかし、サントラというよりはひとつのアルバムとして完璧ではある。
ちなみにレゲエって、なんと世界文化遺産なんだそうだ。そのレイドバックしてチルアウトなフィーリングにお堅いその称号は不似合いな気がしないでもない。それはさておき、こいつを今日のBGMにTashinami 60Mのフライヤー作りを始めることにしよう。
24/11/28