Tsunami Times
スローライフ
雪がほとんど融けたら薪割りを再開するのである。2キロ台半ばはある斧頭を振り下ろしては薪を割る。薪ストーブには乾いた薪を焚べる必要があって、厄介なことに乾かすためには割らないといけない。丸太のままでは乾かないのだ。
しんどくないわけはないのだけれど、薪が割れるとなかなか気持ちがいい。それが太い丸太なら、何度斧を振り下ろしもまるで歯が立たないこともある。今までならそこで諦めて油圧式の薪割り機に頼る(と言ってもこれもそこそこ骨が折れるのだけれど)ところなのだけれど、それでも執拗に打撃を加えているとやがて突然割れ目が生じて割れるということに気がついた。こんな風にしてようやく割れるとなおさら気分がいい。
ちなみに割った薪も乾くには時間を要する。今割っている薪を焚べるのは少なくとも来シーズンまでは待たねばならない。苦労して割った上にすぐには使えないなんて性急に結果を求めがちな俺にしてはちょっとした我慢のいる作業ではあるけれど、スローライフとはこういうことを言うのかもしれない。
一昨日あたりからは、朝こどもたちの登校を見届けた後にこの薪割りをして、その後Kirin SDの最終チェックに塗り上がったルアーの重さを測ったり、水槽に浮かべて浮き具合を確認したりという作業をこなす。喫水を深めに保ちたいこのプラグの難しいところは、ブランク自体が重過ぎると沈み過ぎてしまうこと。場合によってはサスペンド状態になってしまって、それでは本来の役目が果たせなくなる。そのあたりを計量と実際に浮かべてみることで見極める。
ただ、実際にはそれは一筋縄にはいかず、微妙な判断を求められることもないではない。木で出来ている限りはある程度の誤差を許容する必要があって、その範囲は自分なりに設定する他はない。この作業をしながら思うのは、その誤差こそが面白いと言うこと。
俺が持っているこの個体は君のと比べると、どうもちょっぴり重いような気がする。だから水噛みがいいんですよね。場合によってはその方が釣れることがある。ま、しかし、その反対にアクションが軽快な方が釣れることもあっても不思議ではない。なんてユーザー同士で議論するなんていうのは、この釣りのひとつの醍醐味ではないかとも思うから。
近所のカフェ、オベルトンの店主はレンジローバーの3rdを所有していて、俺が見るにそれはとても魅力的な車。ただ、うちのと同様そう新しい車ではないし、日本車のようにある種堅牢ではないので、故障することもままあって、話していると時に故障自慢みたいなことになってしまうこともある。でもそれは不思議と深刻ではなくて車への愛に溢れた会話なんである。愛すべき車を所有出来る幸せがそこにはある。
たとえ欠点があろうとも、それを補って余りある魅力を語ることの出来る、そんな道具を元木にも作れたらといつも思っている。
25/02/28