Tsunami Times

  • Mexico

     ここ十年ほどで日課ともなった、ほとんど自己流と化したヨガのような体幹トレのようなストレッチをこなす正月の朝、なんだか思い出してしまうのはメキシコのことだった。考えてみれば彼の地での5日間ほどの釣りに堪えるべくと言うのが、そもそもこれを始めた一つの動機でもあった。

     冬でも昼間はTシャツ1枚で過ごせるほど暑いのだけれど、朝夕となるとピシッと冷えるのがロッジのあるシナロアの気候。ピシッと冷えれば冷えるほどその日は釣れる、それはおそらく気のせいではないと思う。そういう朝はやはりことのほか気持ちが良く、ロッジのデッキに出てストレッチだってしたくなる。そうすると体もいくらか調子がいい。

     最後にメキシコに行ってもう3年が過ぎようとしていて、さらにはこのコロナ禍のこともあって、こうなるともう一生あそこに行けないのではないかという強迫観念に囚われている。大袈裟ではなくて。

     あの空気がとにかく恋しい。時々facebookを通じてメッセージをくれるロッジの連中にも会いたい。行きたい、本当に。

     離れていると、どれほど俺があそこに恩恵を被ったのかがよくわかる。仕事の上で、そして気持ちの上で。

     息子と登った菊水山の山頂でパノラマヴューを眺めたら、この先に連なるメキシコが見えた気がした。

     いつか息子も行きたいと言うだろうか。

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